匣*hako
投げた言葉のゆく先は


[夏の埋葬]


見も知らぬ芸能人の死を
アナウンサーが語る

画面の向こうの泣き顔を見ながら
好きだった舞台俳優の死を思い出す


(といっても舞台を見たのは一度きりで)

(いつでも観られると、思っていた、から)


彼の幽霊は
舞台じゃなくて客席に出たらしいよ、と
残念そうに母親が語る


(見たかったのにね)

(会いたかったのにね?)



虫は嫌いだ

あっけない死を

いつだって目の前に晒し出す



アスファルトの上で

沈黙する蝉の死骸








































蝉も死を恐れるのだろうか












2007.08.05.




[残火]



昼間の熱が残る中

惑う想いが風を停滞させる



誰が誰をかばって

誰が誰を責めているのか





私は一人蚊帳の外 蝉の声を聞いている






2007.08.13.




[ポエティック・シンドローム]








書き出してみたら




私の悩みなんて ホント

ちっぽけでくだらなかったよ






























 才能・将来・金・金・金


































笑っちゃうよね ピエロ

泣き顔すらも喜劇になると

言った少年 今はどこ




朝が来ればまた

なんてことない顔して ゴロン

万年床の悲しみたがり


































いつだって私 戻りたがり



































どうしようもないね ホント

鏡の向こうで笑うの ピエロ





































それでも































万年床 転がりながら ポツリ

詩人気取りの悲しみたがりは





今日も言葉に縋るのです

































































過ぎた言葉に病むのです












2007.08.20.




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言葉は今日も地に落ちる
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