
[汚泥]
どうか 、
この醜い声が
あなたを侵さないように
2005.6.1.
[火葬場]
僕らが僕らであったのは
もうとうに過去
はるかかなたの
うつろう記憶
ああ 、
消え て
消えてゆくよ
僕が僕であった
君が君であった
その証
炎にくべられ灰に化す
いつか約束した ね
この身はてるときは
空に灰を屠ろうと
叶わぬ望みを
今もなお
ああ 、
消え て
消えてゆくよ
消え
2005.6.1.
[no how]
言葉を作っては殺し
その血にまみれ
残骸を海に捨てる
汚れた手で
何を掴める?
もう とうに
2005.6.7.
[くちづけ]
息が
うまく吸えないのです
だから
酸素をくださいませんか
2005.6.9.
[遠声]
確かなものを求めて
僕たちは遠くへ行くけど
この手の中にあるものほど
不確かなものはなくて
握りしめたこの手から
君の涙がこぼれてはじける
なぁ
いつか君が見上げる空が
泣けるぐらいに青ければいいと
この道の先で祈っているから
2005.6.21.
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